寒い日がとても長く続いた。いつの間にか春が来て、桜が咲いたかと思うともう満開。新しい一歩を踏み出す人が何人もいると、踏み出したくとも道の無いわたしはこのごろさっぱり元気がでない。面白くない仕事に出かける。決まったことを決まったようにやる。ときどきこっそり大きなため息をつく。なんにも考えないように努力する。ここにこうしていることは、はたしてまちがってないのだろうかといっても、ほかに行くところがないんだった。歩き出した人を後ろから見送っていると、そのうち小さくなって見えなくなってしまう。ずぶずぶと底なし沼に足をとられたような春が行く。