かりわたる さおになるとき わけありて
雁がシベリアから広い海を越えてやって来る季節となりました。
長い旅です。
下から見れば、おだやかに飛んでいるように見えても、上空では風もちがう。
敵もいる。
雁はときどきサオのように一直線になることが知られています。
先頭は風の圧が一段と強いわけですから、体力も能力もあるものが当たると想像します。
一直線になる訳があるはず。
知りようがないけれど。
雁は広い海では、休むことができないため、それぞれに一本ずつ木ぎれを加えて海を渡るそうです。
それを落として、海に浮かせ、そこでつかの間の休息をとる。
浜辺では、渡りきって必要のなくなった木ぎれがたくさん落ちていて、それを集めて焚き火をする地域もあるとききます。
人もまた、解決のつかないことを抱え、広い海に木切れを落として、いっときの休息をとりながら、だましだまし生きているのかもしれません。