別府湯布院間は、とにかく霧が深い。
通行止めも、この季節珍しいことではない。
地形のせいだろうか。
海せまる街は、またすぐ後ろに鶴見岳を臨む。
ふだんから立ち上る街中の家々の温泉の湯けむりも、霧に紛れてはっきりしない。
わたしは、人工的に作られた美しい街湯布院よりも、泥臭いどちらかと言えば垢抜けない別府の街の方が親しみやすい。
観光地といえば、オルゴールとガラス細工、旅館の玄関やホールは広くて立派で、決められたように、大きな壺様の花器に、木々と季節の花が活けられて、とても美しいのだけれど、昔ながらの赤絨毯に、玄関脇の小さな受付、なんともしれない土産物コーナー、添加物満載の饅頭が積み上げられていて、ニセモノのキティちゃんが、キーホルダーになって、山のようにぶら下がっている景色も捨てたものではない。