寄 る 辺 な き 旅 に も 見 え て 雁 渡 る

よるべなき たびにもみえて かりわたる

快適な北の国で夏を過ごした鳥たちは、厳しい冬の訪れをいち早く察知して、南へと下って来ます。
鳥たちの姿は、人間にとっては、深まる秋の知らせです。
もう直ぐやって来る冬の先触れです。
もっと大げさに言えば、人間は、渡り鳥を仰ぎ見ながら、悠久の時のめぐりを感じるのだと思います。
そして自分も、まちがいなく、その時の流れの中で暮らしていくしかないことを知ることになります。
朝夕冷えてきた秋の日、大陸から日本の空に流れ込む気流に乗って、初雁が渡って来ます。
毎日の暮らしや些末なことに追われていながら、時折自然界から、大きな流れが示される、そんな感じでしょうか。