目も開かず 雪吹き上げる ビルの風

ビル風って、なんであんなに激しいのか。海の風、山の風とはちがう、とっても不愉快。目も開けられず、手はかじかんで、カバンの取っ手をひとつ取り落としたせいで、カバンが斜めになって、中身が転がった。拾おうとして、かがんだら、首に振り分けて巻いていたマフラーが、ズルッと片方道に落ちて、それ踏みつけて、屈んだ姿勢のままで、どどっと前につんのめった。風がひどくて、髪は顔にまとわりつき、もう山姥(やまんば)街に来たって感じで、情けない。いったいあたしは何をやってるんだろう。

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