凍てついて 親亡き家は 戸も開かず

家というものは不思議なものです。
誰も住まなくなった家は、見る見るうちに荒れるのです。
べつにどこが壊れるわけでも、錆びつくわけでもないのですが、
息をしてないのです。
まして鹿児島県伊佐市、鹿児島の北海道といわれる、山中の
人の住まなくなった家は、急に立て付けが悪くなったわけでも
なかろうに、凍りついたわけでもなかろうに、
玄関も雨戸もぎしぎしと音をたてて、開くことをいやがるのです。

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