かみあらう だんとうだいに つきいだし
フランス革命で、断頭台の露と消えた、マリー・アントワネットの、最晩年の様子を読む機会があって、
高い塔の最上階に、長いこと幽閉されていて、
その間は、さすが高貴な身分の女性らしく、読書や刺繍などで、気を紛らせながら、
静かに過ごしたらしいのです。
さすがです。
さていざ処刑の日を迎え、後ろ手に縄をかけられ、民衆の前に引き出されても、その威厳は保たれていたそうです。
長い髪を、まとめられ、断頭台にクビを乗せられ、
いざという瞬間、やっぱりオンナだからか、
どうしても身をすくめてしまい、うまくいかない。
業を煮やした処刑番が、「アッ」と、空のあらぬ方を指差した、その瞬間に、気を取られたのか、
断頭台の刃は、うまく切り落としたそうなのです。
「髪洗う」の季語を見て、そんな話を
思い出しました。
イヤなことを忘れたい、
無かったことにしたいとき、
オンナはセツセツと髪を洗うものです。
だから忘れられるってものでもないけれど。