終わらない 電話のありて 薄暑かな 某社オフィス / nishidaryuichi じっとりと汗ばむ事務所の中。誰も窓を開けようとしない。暑がりのわたしはときどきそっと窓を開ける。「寒いと思ったら、窓が開いてるう」必ず誰かが言う。約束があるのに、電話が終わらない。毎回必ず終わらない人は終わらない。切り上げるような言葉は禁物。喋りたいようにしゃべらせる。でないと、見えない不満は鬱積する。相談の形式はあるものの、結論はあなたが決めているだろう。わたしは明るい声で「そうですね」と言うだけ。それですべてが丸く治まる。