福子の職場には、定例会があります。
本店も支店も一緒に集い、なんだか
んだと研修まがいのことをする。こ
の研修のあと、ご飯を一緒に食べる
のが慣習となっているのですが、何
かやむを得ない用事があるときは、
食べないで帰ることを許される。そ
こに目を付けたのがわたし。研修は
ともかく一緒にご飯を食べるなども
ってのほか。何かと用事をつくり、
免れようと、それだけを考えた、毎
回。そこを指摘したのが二番目。悪
いわけじゃないけど、食べるのが習
慣だから、そうした方がいいよって
教えてくれた。わたしは人に媚びる
ことが大嫌いで、さっさと帰ること
だけを考えていた。こんなわたしに
帰らないほうがいいと言うことは、
ヘタをすると、「この体制派」とわ
たしに馬鹿にされることもあるかも
しれない。言わなくてもいい、もし
かしたら教えてやらない方が面白い
かもしれないメッセージ。二番目は、
温かい両親の元、優秀なお姉ちゃん
と比べられることもなく、ぽあんと
育ったらしい。駆け引きや人をはめ
るなどということとは無縁の人で、
わたしから見れば、ボスに気を遣う
ごますり人間に見えたこともあった
けど、当人にそんなつもりはなく、
ただ普通に考えてのことらしい。い
い人だ。二番目のおかげでわたしは
続いているのだと思う。本店も支店
も二番目を静かでおとなしい、扱い
やすい人間だと思っている節がある。
人を侮るものではない。うちに秘め
た大きな人間性に気づいたのは、お
そらくわたしだけ。この人をだいじ
に考えることに決めた。