ながつきの うみかぜをかぐ ほうじょうや
むかし、筥崎宮の大鳥居を過ぎると、道を一本渡ったところに、松林、砂浜ではなかったけれど、丸い石を敷き詰めたような黒っぽい浜の向こうはもう海でした。
埋め立てに埋め立てを続けた結果、海は遠くに遠くに下がり、泳ぐことなどとんでもないことになってしまいました。
でもあの頃の筥崎の浜は、原風景のように、目を瞑れば鮮明に浮かびます。
わたしは、放生会が終わったあとの筥崎宮と海を何回も訪れました。
祭りが終わって、日常に戻りつつある風景が見たくて。
なんで、わたしは、この年になっても筥崎を卒業できないのでしょう。