こへんろに あおばかぜよべ へんろづえ
数年前の桜のころ、爺ちゃん婆ちゃんに連れられた、子どものお遍路さんに出会ったことがあります。
それなりの遍路装束が愛らしく、記憶に残っています。
遍路に持つ杖を、遍路杖、または金剛杖と呼びます。
肉体的、精神的に遍路の行程を支える大切な道具です。
杉やヒノキでできた白木の杖です。
険しい山野を歩くとき、疲れてよろけそうなとき、マムシなどに遭遇したとき身を守るためにも必要と考えられてきました。
遍路には「同行二人」の考えがあり、たとえひとりで歩いていても弘法大師がいっしょにいて守ってくれていると信じられているそうです。
つまり杖は弘法大師の化身としての役割もあるとのこと。
杖の上部には、「地 水 風 火 空」を意味する梵字が彫り込まれています。
歩き遍路が少なくなった昨今でも、たとえ少しの区間でも歩きたいとの要望もあると聞きます。
観光バスより、歩き遍路の方が何十倍も時間とお金がかかり、やむなくバスにしたと言う人も多いそうです。