かんたんに いえでしぬ など しがつじん
四月尽、春に吹くほこりっぽい不愉快な風。
家で死にたいとは、たしかに多くの人の願望です。
住み慣れた我が家で、温かい家族に囲まれて最後のときを迎えたい。
ご高齢の皆さんにお聞きすれば、ほとんどの方がそうおっしゃると思われます。
でも、ちょっと考えてほしいのです。
その願いをかなえるために、家族の誰かがつきっきり。
むかしは長男の嫁がその役を背負わされたものです。
今は訪問看護も医者の往診も、また緊急の場合の対策もあるとはいえ、眠れない日々を送り、過労でくたくたになる人間がでるわけです。
そのうえ時代は変わりました。
子どもを含め、みんな自分が生きることに必死です。
むかしのテレビドラマじゃあるまいし、死にゆく人の、むずかしい看病など、人に押し付けていいわけがないじゃありませんか。
「わたしが看る」と言ってくれる奇特な方がいれば、話は別でしょうが。
わたしは、それでも遠慮すべきではと思います。
冷たい人間でしょうか。