黴 (かび) 臭 き ジェーン エア 出 す 夜 長 か な もうすっかりセピア色に変色して しまったけれど、捨てられない本 を引っ張り出してみる。遠い若い 日に、あんなに興奮して読み漁っ た小説は、今さら何処か人ごとで ヒースという潅木の広がる荒地や そこを渡る風の強さ、匂い、ドア の軋みや部屋の灯りの暗さばかり に心が行ってしまう。年をとった からだろうか。