熱々の出来たての梅ヶ枝餅を食べながら、赤煉瓦のトンネルを目指す。
飛梅は、いつもと同じように黒光りの牛とともにそこにあり、人が増えたこと以外むかしと何も変わらない。
お石茶屋は、その由来を知ってか知らずか、店の外まで人で溢れ、そのわりには続くトンネルに人影はない。
筥崎で生まれたわたしが、何の縁で此処に来たのか。
親の都合ではあるが、さしたる理由はなかったと思う。
青春とはとても言えない、4Bの鉛筆で真っ黒に塗りつぶしたいような日々を過ごしたのに、今も覚えてくれている人がいて、懐かしい笑顔で振り向いてくれることとても感謝している。
この最悪の時期が場所が、わたしにとって故郷となり、今いちばんの癒しの場になっているのも不思議な感覚である。