ほんとにほんとに幼い日、私はままごとが好きだった。材料はいつも決まって、大根の花、春菊の花、大根独特のに
おいが懐かしく、大根を切るたびに思い出す。ほかにもいろいろあっただろうが、思い出せない。私は母親を5歳で
なくした、なくしたならまだいいのかもしれないが、5歳のある日から、虐待の毎日で、むかしの話ができる相手がいな
かった。大根の紫、大根のにおいは、育っていくうえで、お守りのようなものになった。なつかしいというより、いまでも
涙がでる。
ほんとにほんとに幼い日、私はままごとが好きだった。材料はいつも決まって、大根の花、春菊の花、大根独特のに
おいが懐かしく、大根を切るたびに思い出す。ほかにもいろいろあっただろうが、思い出せない。私は母親を5歳で
なくした、なくしたならまだいいのかもしれないが、5歳のある日から、虐待の毎日で、むかしの話ができる相手がいな
かった。大根の紫、大根のにおいは、育っていくうえで、お守りのようなものになった。なつかしいというより、いまでも
涙がでる。