あまりの愛情は、相手を息苦しくする。
オトコが引くのは、当たり前の反応だろう。
「もう一度逢いたい」
と思っても、時間が経つことを味方につけて、自分の気持ちに折り合いをつけ、あきらめるのが常道かと思うのだが、なんせ一途で、さらに人間ではない雪女の情念は、留まることを知らないというか、アタマに組み込まれてさえいなかった。
「自分と出逢ったことを、人に喋ってはいけない」
もののけのおきてを破ったオトコの前から、やむなく姿を消すしかなかった。
人間とかかわってはいけなかった。
逢わなきゃよかったオトコって、人間の世界にもいる。