Nerium oleander / 夾竹桃(キョウチクトウ) / TANAKA Juuyoh (田中十洋)
夏真っ盛り。
近所の公園は、朝夕は別として、炎天下の真昼は人っ子ひとりいない。
通り過ぎる人もいない。
ただ夾竹桃の花が、咲き誇っているだけ。
原爆の落ちた広島で咲いたという。
牛が食べたら死ぬと言う。
なにやら気が強くて、まちがったことも、おかしな理屈で押し切ってしまう、ずる賢くて、油断ならない性悪女の風情である。
長い間、虐待を受けた継母に印象が似てるものだから、ついつい言い過ぎる。
糸島市志摩町野北浜の出身の人で、だからわたしは、野北浜が大嫌いである。
あの辺りの風習で、本人を目の前にして、口に手を当て、本人を見ながら、こそこそ聞こえるか聞こえないかの声で、本人のうわさ話をする。
そんな地域も人も、他に見たことがない。
下劣だと思う。
今の糸島半島は、すっかり垢抜けて、おしゃれな店ができ、インテリの別荘地と変貌し、あのおぞましい風習は影を潜めていることと思う。
土着の人には、気をつけたほうがいい。
田舎だから、人がいいなんてことは、微塵もない。