マフモコスナップ MUFFMOCO SNAPSHOT / Norio.NAKAYAMA

毛糸の、もともと長めのマフラー。
二重に巻いて、さらに耳まで隠して、顔の半分ぐるぐる巻きにして使っていたら、だんだんのびてきたような気がする。
マフラーといえば、
わたしの妹は高校生の頃、好きな男の子ができるたびに手編みのマフラーをプレゼントしていた。
わたしの記憶では、想いが届いたことは、たぶん一度もなかった。
本人もけろりとしたもので、またすぐ次の獲物を物色する。
気分転換がうまいというより、気が多いというかだらしがないというか、この人を想って編み始めたマフラーが、出来上がったら違う人に渡ることもあった。
休み時間に呼び出して告白するなんて朝飯前のようだった。
撃沈しても恥ずかしくもなんともないように見えた。
「恥知らず。明日からどんな顔して学校行くんだろう」と思ったけれど、今になって思えば、あの方がいい。
思ったことは言葉にして伝えないと伝わらないし、言った方が自分のためにもいい。