うつむきて むぎふみゆうひ おつるまで
最近は麦を育てる農家は減ってきたようです。
長い間稲作の裏作として植えられてきたものです。
稲の刈り入れが済んだ田に、新たに畝を作って麦を撒きます。
麦は寒いときでも伸びるのです。
冬の終わりから、春のはじめにかけて、伸び過ぎないように押さえて、霜で浮き上がった根を踏み込んで根の張りを良くするのだそうです。
下を向いて、麦の畝を黙々と行き来する作業は、楽なことではありません。
決して「のどかな早春の田園風景」などといえるものではないのです。
寒い風が吹きつけるため、顔や首や手を庇うために頰かぶりをしたり、ふところに手を入れたりして、足裏でしっかりと踏んで行くのです。
一年を通して、楽な作業はないもようです。