川端善哉・・・かつて、川端の商店街の中に店を構えて、無口な体格のいい多分おじさんとおばさんがやっていたと思う。
夫婦ではないと聞いた。
小豆は嫌というほどたっぷり入っていて、量も相当なもの。
お盆に載せなくて、おじさんが手で持ってきてくれるのだが、時々、親指が、善哉に浸かっていたりする。
味は濃厚。
相当な甘党でないと、食べおおせないほど、甘い。
店の中に井戸がある。
お茶は、炊き出し用みたいな、アルミの超でかいやかんで来る。
あちこち凹んでいたと思う。
店の人は、ひどく無口だったと思う。
おじさんもおばさんも亡くなって、店も無くなった。
名前だけは残って、誰か地元の血縁のない関係者がやっていると聞いたが、味はとんでもなく薄く、まったく別のしろものになっている。
それでも、名前を見れば、懐かしく、よそのお宅に伺うときなど、確か明月堂が作った、「川端善哉」という、冷やしていただく、お菓子を選んで、持って行ったりする。
別物なのに、名前に惹かれて、喜ばれる。