いぬふぐり はこざきのまち でんしゃみち
5歳で母と別れた。
24歳の若い女が新しい母親となり、その日からひどい虐待が始まった。
自分の子を産んでからは拍車がかかった。
今に至っても、忘れられなくて、困っている。
生みの母とは、5歳途中まで、箱崎の郷口町にいた。
小さな家の前には大きな川が流れていて、川べりに、青い小粒のコンペイトウのような、
犬ふぐりがいっぱい咲いていた。
幼いわたしは、茎の部分から花を摘むことを知らず、てっぺんの花びらのところだけをつまんですぐに壊れた。
短い間だったけれど、たぶんあそこがふるさと。