ほうしぜみ かぞくしゃしんの セピアいろ
手軽に写真を撮れる今とちがって、わざわざ写真屋さんに赴き、言われるままに、立ったり座ったりして家族写真というものを撮っていた時代があります。
ふだんは思い出しもしないこれらの写真は、遺品整理や、リフォームや、家族構成が変わって、大きな模様替えなどが必要なときに、ふわっと現れます。
写真は色も変わって、ところどころしみができていたりもするのですが、ひととき作業の手を止める力を持っているものです。
そのときの家族のこと、その後の変貌。
あの頃は元気だった人。
もういない人。
このとき、数年後に亡くなるなんて、誰も思いもしませんでした。
もちろん本人も。
夢を実現させた、また思うようにいかなかったそれぞれの人生。
これもまた終わったわけではないから、先のことはわからないなどなど、考えても仕方のないことが次々によぎるのです。
暑い夏が終わりかけて、うるさかった蝉がツクツクボウシに取って代わりました。
秋がそこまで来ています。