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去 年(こぞ)ま で は 嫗(おうな) 自 慢 の 柿 簾

干し柿。
作るのには、とても手間暇がかかる。
まず、使うのは渋柿。
皮を剥くのだけれど、吊るすときに便利なように、ヘタと少しの軸をT字になるように残しておく。
そして熱湯をくぐらせる。
これはまあ消毒のようなものらしい。
干し柿に黴が生えないように。
それから、紐で結んで下げていくのだけれど、柿と柿がくっつかないように。
くっつくと黴が生えるから。
うまくいけば、2週間から1ヶ月で出来上がるそうだけど、途中で一度柿を揉むといいとか。
散歩道の農家の、今は車庫になっている大きな納屋の軒先に毎年カーテンのように柿すだれが下げてあって、よく見かける姉さん被りのお婆さんの作品だろうと勝手に想像していた。
家の塀から道に突き出した柿の木にいっぱい実がなって、道路側に梯子をかけて収穫するのを「危ないなぁ」と思いながら、毎年見ていたから、あの柿にちがいない。
道幅やっと4m、それも右に左にカーブしていて、見通しのわるいこと。
陽当たりはよく、毎年鈴なりの渋柿が、立派な柿すだれに変身する。
愛情いっぱいである。

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