わたしは、盛り場の夜の雰囲気が嫌いではない。
川面に映るネオンを見飽きることがない。
独特の匂いがする。
昼間通れば、汚れの目立つ、なんのことはない街が、変身するのが、むかしから面白かった。
綺麗なお姉さんの中に、ほとんどすっぴんの人もいた。
上客が付いていた。
薊のかずよさんて女性。
目がクルッとしてて、色はどちらかといえば黒く、明るくて、話題の豊富な素敵な人だった。
わたしは、昼間にしか会ったことがなく、夜の姿を見てみたかったが、それには、お店が上等すぎた。
こんな魅力的な大人になりたいと憧れだった。
遠いむかしのこと。