このろじの さきはいろまち ふゆすみれ
色街というものは、今もあるようで、なぜかその入り口の路地には、柳が植えられていると、わたしは思うのです。
そして横の短い橋を流れに向かって滑り降りる途中の、石のごろごろした、日の当たる小さな空き地にスミレを見つけることがあります。
スミレは春の野の花のなかで、もっとも親しまれているかもしれない。
意外に寒さに強く、冬のうちから日だまりなどで花を咲かせているのを見かけます。
丈が低く全体に小ぶりではあるものの、気のせいか花の紫が春より濃く感じられます。
冷たい風が吹くときには、耐えるかのように小きざみに震えているように見えます。
聞くところによると、たったニ首ながら、万葉集にもスミレを詠んだ句があるとか。