牡丹江 (ぼたんこう)
中国と北朝鮮、ロシアの国境近くを流れる大河。
寒さが厳しいため、厳冬期には凍ると聞きます。
地平線の見える満州では、赤い夕陽は、転がると言われます。
中国残留日本人孤児には、この牡丹江周辺に置き去りにされたという人は多く、苛烈な人生を送り、すでに中年といわれる年齢を過ぎて、日本に帰国。
生活に追われ、ろくに学校に行ったこともなかった人たちが、さあ日本語習得など簡単にいくわけもありません。
はじめこそ歓待してくれた親族も、習慣の違いから、関係は悪化し、孤立を深めるばかりです。
ではなぜ仕事を棄て、育った土地を離れ、わざわざ苦労をするために日本に帰って来たのかと問う人は多かったものです。
「郷愁」に尽きると思うのです。
ふるさとに帰りたい、その想いを理解しない限りは、隔たりは埋まりません。
あの帰国事業が始まって40年の歳月が流れ、もう3世4世の時代でしょう。
せめて帰ってきたことを悔やむことのない人生であってほしかった。
今更ながら思います。