ひあしのぶ どそうもありて はかじまい
何世代もが当然のように繰り返して来た日々の暮らし。
ずっと続くものと、誰もが信じて疑いもしなかった。
生活が変わり、子どもらはあとを継がず、都会の学校に
行きたがり、そのまま仕事について、そうなるとそこで
結婚もし、生活の基盤は、当たり前に都会となります。
そのまた子どもは、もう今いるところが故郷になっていき
ついにというか墓終いをすることになったのだそうです。
「墓じまい」と言うのは簡単だけれど、実際掘り返した人
が言うには、「墓が動く」と言うのです。
土葬の時代のものもあって、骨のたぐいはいっさい残って
おらず、水がたまっているだけだったそうです。
ただ髪の毛だけは残っていて、まさかそんなこと思っても
いないものだから、ガサっと掴んでしまって、死ぬほど後悔
したそうです。
真っ黒い髪だったとか。
しばらくご飯が通らなかったと聞きます。