冷 蔵 庫 来 し 日 の 父 の は し ゃ ぎ 様

れいぞうこ こしひのちちの はしゃぎよう

我が家に冷蔵庫が来た日のことは、鮮明に覚えている。

まだ冷凍庫は付いてなくて、わずかに氷をつくる横のスペースが、今でいう冷凍庫の役目をしていた。

一番喜んだのは、父で、いちばんにしたことが、たまごを凍らせること。

わたしら姉妹は、これで母の機嫌が少しでもよくなりますようにと、願ったものです。

テレビはすでにあったと思う。

一般にはまだ少なかったけれど。カラーテレビも発売していた。

ある日のこと、妹がテレビの前に正座していて、何してるのか不思議に思った父が、聞いてみると、

今日の「鉄腕アトム」は、天然色といったそうだ。

テレビの隅っこに、カラー放送する 番組には、小さく文字が出ていたらしいのです。

わたしは気がつきませんでした。

妹は、ウチの白黒テレビも、天然色になると思ったのでしょう。

そしてその様子を見て、父は、大笑いしたけれど、どこか不憫に感じたようでした。

でも実際に、ウチのテレビがカラーになったのは、それから10年近くたってからだったと思います。