柿たわわ もう亡い人と 青い空

遠い世界に旅立った人に、聞いて見たいことが五万とある。
早くに母親と別れて育ったから、聞きたいことは山ほどあるのに、
大人になって、再会した母は、そんなことには心を寄せない、
結構薄い、魅力のない人だった。
親と別れた子どものうちには、そんながっかり感を持つ人は少なくないのではと
想像する。
あなたたちのことは忘れないと、言ってたくせに、
いつの間にか再婚していた。話をしたいと訪ねても、
そのおじさんの前ではむかし話ははばかられる。
気を利かして、出て行くふうでもない。
結局、ありきたりな世間話をしただけだった。
もっと聴きたいことがあったのに。
おじさんもおじさんなら、母も母だと思った。
結局わからないんだ。必要なときに居なかった人には、
親子といえど、分かり合えないことがほとんどで、
なんというか、ケンタッキーフライドチキンみたいな
大味の、話の通じない人だった。

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