田中慎弥の掌劇場 「書いている、読んでいる」毎日新聞8月9日 (日) 12面掲載

わたしは何故か、このひねくれた作家の、ひねくれた心根で書かれた、ひねくれた文体による、ひねくれた文章に惹かれる。
好きで堪らない。
この人、何とは無しに書いているようで、結局苦労づくめの人生だと、わたしは思っている。
何冊か、他人事のように書かれた著書は、おそらく本人の自伝であろうし、今回の自殺に関する一件も、たぶん嘘ではないと察する。
誰かの為を思って書いた文字は一字もなく、ちっぽけな恐怖心のために、死ねないでいると。
人は自分の為にしか生きないと言う。
自殺を思いとどまらせる為に、幾千の、思いやりの塊のような人、そして専門家が、貴方がこの世に存在することの意義を、必要性を説く。
死ねば、どんなに周りの人間が悲しむか考えよと説く。
鬱陶しい。
やっと死んでくれたかと思う身内も確かにいるだろうに。
なんで言ってくれなかったかと、嘆いて見せて、翌日の予定は、変更なくこなす。
人間なんてそんなもの。
かけがえなない貴方なんて、反吐が出るほど嘘くさい。
田中慎弥という人間は、この上なく優しい。
慰めも励ましもしないけれど、今、死にたい貴方の気持ちをいちばん理解する人だと思う。
嘘だと思ったら、ちょっとだけ読んでほしい。
ほんの短い、エッセイだから。

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