老化 ? それとも認知症 ?

わたしはもう長いこと、市の文化センターの洋裁教室に通っています。

何年にもなりますから、気が合う仲間が結構います。

洋裁というより、おしゃべりでストレス解消の方が大きな目的と化しています。

ご飯を食べに行ったり、一泊旅行にも何度か行きました。

なかでもいちばん旧い友だちは、確か75、6才になります。

ムスメとムスコがおり、どちらもなんの心配もなく大手企業で優雅な暮らしをしているようです。

長女のほうは、40才近くに結婚し、高齢出産を乗り切り、健康な子どもを授かっています。

それまでの親の心配は計り知れず、なのですが、今では当人はけろっと忘れているようです。

教室に最近、新人さんが入会しました。

その方も75、6才彼女とほぼ同い年です。

子どもは女の子が二人、45才くらいだそうです。

本人曰く、生活に追われていて、二人の独身の子どもが家にお金を入れてくれるからなんとかなっているとのことです。

本人は、若い頃から勤めに出たことがなく、よそ様の服の手直しをして過ごし、家の中にばかりいるから気が滅入るだろう、少しは出かけたらとムスメの助言があって、腕に少々覚えのある洋裁に来たということでした。

ムスメたちは、経済的に暮らしを支えているという意識があってか、また忙しいのか、甘えているのか、家事は一切しない、すべてお母さん任せ。

炊事洗濯掃除、乾いた洗濯物をたたむのも、ブラウスのアイロンかけまで母親だのみだそうです。

そんなふうだから当然愚痴も出ます。

70代も半ばを過ぎると、疲れも出るし、買い物ひとつとっても大変です。

クルマの免許はありません。

前述の恵まれている彼女は、その同い年の愚痴を聞くのが不愉快らしく、この前大きな声で、こんなことを言ったのです。

「アンタのムスメたちは、結婚もしてないし、子どもも持ってないから、思いやりの心がぜんぜん育ってない。

そこへゆくとウチのムスメはちがう。

お母さん大丈夫?としょっちゅう電話してくるし、ひと月に一回は孫を連れて、顔を見せに来る。」

教室には、ほかに40代独身女性が3人います。

もともとそんないじわるを言う人ではないのです。

楽しくて、よく気の回る、とても愉快な人です。

どうしたことでしょう。

場の雰囲気が一瞬凍りつきました。

「本音が出た」のではないか。

今までは、思っていても理性で口にしなかったことが、理性のタガが外れた。

わたしは、もしかしたら認知症の「初めの一歩」ではなかろうかと思ったのです。

そのことがきっかけというか、ショックで、わたしはお風呂上がりのビールをやめました。

もともと血圧だなんだとクスリを飲んでいて、お酒はダメと言われているのに、「このくらいなにさ」と無視していたのですが、認知症の出現が早まるリスク大じゃないかと思うと、恐ろしくなったのです。

年は知らず知らずのうちにとるものです。

身体の衰えは自覚できるものの、ほかのことは自分ではわかりません。

誰も教えてもくれません。

もともと育ちが悪いわたしは、人一倍気をつけねばなりません。

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