加 害 者 家 族

加害者家族 (幻冬舎新書 す 4-2)

鈴木伸元 著 幻冬社新書193

頻発する犯罪により、被害者だけでなく、その家族までもが、その後のマスコミによる取材攻撃によって、二次被害を受けることが多い。
一方で、忘れられがちだが、こうした事件の数だけ、加害者の家族も存在している。
誰もが「自分は加害者家族にはならない」と思っているはず。
加害者にならずとも、身内が罪を犯し、加害者家族になりうる可能性はあると思う。
子どもが罪を犯した親、夫や妻が罪を犯した配偶者、親が罪を犯した子ども、さらには親戚が罪を犯したという人まで含めると、一つの事件には、じつに多くの人間が関係していると言える。
本書では、いろんな、有名と言ってもいいような多くの事件を扱っているが、わたしは個人的に興味を持っている、連続幼女誘拐殺人事件ついて、説明したい。
宮崎勤の家系は、地元では名の通った家で、代々機織り工場を営んでいた。
戦後、養蚕業が衰退するにしたがって機織り工場の経営も悪化、そこで宮崎の父親が思いついたのが、ローカル情報を専門に扱う新聞の発行だった。
4つの市町村で3000部を発行するローカル紙を、祖父母も含め、一家一丸となって作っていた。
完成した紙面は、土曜の夜に一般の新聞販売店に持ち込み、日曜の朝刊といっしょに配ってもらっていた。
1989年、バブルの絶頂期だった。
幼い女の子が誘拐される事件が相次いでいた。
山中で全裸の遺体が発見されたり、被害者の自宅に、骨の一部が送りつけられたり、「今田勇子」を名乗る不気味な犯行声明がマスコミに届けられたりした。
事件は、大きく報道され、さまざまな分析が行われた。
逮捕の一報が入ると、一時間もしないうちに、新聞、テレビ、雑誌など多数のマスコミが、家に押しかけた。
父親は、インタビュー取材に必死に答えた。
親としての責任についての質問もあったと聞く。
父親は各社からの要望を聞き入れ、息子の部屋を公開した。
そして、本人が収集していた、ホラーやロリコンのビデオ雑誌などが撮影され、センセーショナルに報道された。
この日から、次第に明らかになっていった事件の猟奇性は、連日マスコミに大きく取り上げられた。
宮崎勤が、被害者の肉を食べ、血を飲んだことも晒されていった。
一ヶ月がたったとき、父親は、顔は青ざめ、げっそりと痩せこけていたという。
白髪が目立つ母親は、頬はくぼみ、実際より10歳は老けて見えた。
「針のむしろに座っている。死にたい。」「死んだらまた笑いものになる。子どもさんを亡くされた親御さんのことを思って耐えている。」
はがきや封書が、ダンボール箱に山のように積まれていた。
「おまえも死ね」「娘を殺す」差出人の名前のないものばかりで、宮崎の姉妹を狙い撃ちした嫌がらせが多かったという。
宮崎には二人の姉妹がいた。長女は事件発覚後、勤め先のスーパーを辞めた。
1989年の年末に挙式予定だったが、婚約を自ら破棄していた。
次女は、看護学校に通っていたが、退学し、看護師になる夢を絶った。
父親は五人兄弟だった。
二人の弟は、いずれも会社の役員などをしていたが、事件後に辞任。
下の弟は離婚した。
従兄弟にあたる子どもたちも、勤めを辞めた。
公的な仕事をしており、そのことを週刊誌などで、暴露的に報じられたため。
親が責められるのは、わたしはしょうがないと思う。
成人であっても、育ててきた責任があろう。
両親の不仲が原因の一つだろうという分析も多かったという。
不仲な夫婦など世間にいくらでもあるだろうに、よほど酷かったのだろうか。
両親は、責めを受けて当然としても、叔父や叔母、従兄弟に至るまでの制裁が果たして必要だろうか。
気の毒でならない。
宮崎勤の逮捕から、およそ一年、両親と二人の姉妹は、別の町に移り住んだ。
父親は印刷のアルバイト、母親はパートを始め、姉妹も職場を変えて、家族四人で、身を寄せ合って暮らしていた。
離婚して苗字は母親の旧姓を使っていた。
被害者の名前を書いた紙に向かい、毎日手を合わせていたという。
公判が始まって、四年半後、父親は多摩川の河原で発見された。
高さ30メートルの橋の上から、夜中に身を投じたとされている。
死ぬ直前、父親は、自宅のあった土地を処分する算段をつけていた。
母親とは、その後の段取りについて、何度も話し合っていた。
母親は、その遺志を継いで、土地を処分してできた現金を、四等分にし、被害者家族それぞれに、賠償として送金したという。
その金額は、遺族からすれば、大した額ではなかった。
遺書には「疲れた」とあった。
世間は、許さなかった。
「逃げた」と。
加害者の家族は、罪を犯した本人よりも、苦しむ。

宮崎勤は、今田勇子の名前で、残虐な犯罪を犯している。
精神鑑定に当たった医師、三人のうち一人が、多重人格を指摘した。
アメリカでは、10人のビリーミリガンなど、多くの多重人格の症例が報告されているという。
なぜ、もっと調べない。研究しない。
許せない悪い奴だという理由で、とっとと死刑を執行したのは、たしか、鳩山由紀夫の弟だったと思う。
兄弟揃って、短絡的だ。

この句も読まれています。

き ち き ち と 言 は ば 居 場 所 の 丸 わ か り... きちきちと いわばいばしょの まるわかり バッタの仲間です。 精霊バッタは、お盆のころに出てくるからこの名前が付いています。 別名、キチキチ。 オスよりメスが大きい。 後ろ足が発達していて、体長の数十倍もの距離をジャンプするそうです。 飛ぶときに、キチキチと音を出します。 変な音出すから、どこにい...
名 月 や お の の く ほ ど の 明 る さ で... 昨日は、中秋の名月、今夜はスーパームーンというらしい。 まんまるお月さんの明るさに、街灯も要らぬくらい。 ふだんはあまり意識しないのだけれど、追い立てられるように、飛んで飛んで歩いた。 ススキは、蒼い穂を活けていたのが、いつの間にかほわほわの綿ススキに変わっていた。 昼間はしっかり暑いけれど、秋はそ...
紫蘇洗う 紅き色染む 気持ちして 赤紫蘇を洗う。そのままでは何ともないのに、何だか色が染まりそうな紅い色、思わず用心して、自分の手なんか見てしまう。...
縁あって 逢うたに時雨るる(しぐるる) 日に別る... 逢えたのは縁があったからだと信じたい。 人生には浅い出逢いがいい。疲れなくていい。 溺れるときつい。溺れると地獄。 別れはつきもの。別れて当然。 まえの暮らしにもどるだけ、もどるだけ。...